ぼくは1960年代前半に大学生活を送りましたが、新書は中公と岩波と講談社くらいしかなかったです。岩波は毎月新刊は1冊だったと思うんですが、それを読みました。新書の質もよかったですね。いまは、他人のことはいいにくいけれど、非常に短期間で書いているようなものがありますね。
昔で言えば、大塚久雄の
『社会科学の方法:ヴェーバーとマルクス』というのは非常にいい本でした。例えば、個人との関係で社会の法則を説明するのに、群衆がなだれを打って動くと個人ではどうしようもなくなる、群衆の力は個人の総和であるのに、個人と対立したものになる、ということを言ってましたが、ぼくはいまでも学生にそうした説明をします。丸山真男の
『日本の思想』などもいい本でした。よく学生が「教育社会学やるのに、先生どんな本を読んだらいいですか」なんてきいてくるけれど、社会や人間の土台を知ることが大事なのだから、新書や小説を読んだらいいといってきました。