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怒濤のギター弦が哀愁を叫ぶ、初来日ライブ

編集部 川井 龍介

撮影:Ryota Mori
 知る人ぞ知る新たな才能、というか個性を持ったアーティストがこのほど初来日し、興味津々で待ちかまえたファンの前でうわさに違わぬ怒濤の演奏を聴かせた。
  Rodrigo Y Gabriela (ロドリーゴ イ ガブリエーラ)。ロドリーゴ・サンチェスとガブリエーラ・クインテーロという男女のギター・デュオである(http://www.rodgab.com/)。ガット・ギター二本でのロックとフラメンコ、それにフォークやジャズのテイストもクロスさせたようなサウンドだ。
  3月30日、場所は東京渋谷のライブハウス「DUO Music-Exchange」。雨の日曜の夜、道玄坂を渋谷駅から上って少し横に入った、周囲にはホテルが点在するこの会場は、蒸し暑い熱気に包まれていた。
  出演するアーティストによっては、椅子とテーブルでワインなど飲みながら優雅に演奏を楽しんだりすることもあるのだが、この日は、まさに立錐の余地のないほどの聴衆が立ち見で、つま先だって彼らの演奏に釘付けになった。チケットは早々完売となり、インターネットでは数万円という値も一部でついたほどだった。

  音楽通が広めた個性派アーティスト

  会場につめかけた聴衆をみると、男性を中心に30代前後が多いようだったが、年配の人も少なからず目につく。ライブに熱狂はしているものの、どこかでかれらの演奏を見極めてやろうといった視線もある。アーティストによってライブ会場の雰囲気はほんとうに変わるが、どうやら音楽通が詰めかけているらしい。
  これまで彼らの音楽は、輸入盤でしか手に入らず、音楽専門誌以外はそれほどメディアもとりあげることはなかった。かつてこのコラムでは、「怒濤のアコースティック・ギター」というタイトルで、スペインのパコ・デ・ルシアなどとともに紹介したことがある。これはロック・ギター・ファンからの情報をもとにしたのだが、それまでは私も知らなかった。
  しかし、やはりいいものはどこかで口コミやネットを通じてつたわっていく。そのきっかけの一つは、新宿、渋谷のタワー・レコードの店頭で紹介されたことだという。輸入盤に詳しいこうしたショップのスタッフが、大手のレコード会社などよりいち早く、知られざる個性派アーティストに目をつけて世に広めるのはよくあること。
  ちょっといじわるな言い方になるが、外資系のメジャーレコード会社が、本国からの要請(時に押しつけ)でお金をかけて必死にプロモーションするアーティストが苦戦したりするのに、プロモーションなしで実力と人気で頭角をあらわすというのは、本来のポピュラー音楽のあり方であり、実に痛快だ。

  メキシコからアイルランドに渡って成功!!

  ロドリーゴとガブリエラの二人は、メキシコ出身。黒い髪とぎょろっとした目元をみれば、なるほど民族性を表しているとわかるだろう。そもそも地元では、ブラック・サバスやメタリカといったメタル・ロック・バンドから影響を受けて、スピード感のある、スラッシュ・メタルというロックを演奏していたという。それが、あるとき、新しいスタイルを求めてヨーロッパへ行こうと決め、ガブリエーラによれば一番未知の地だったというダブリン(アイルランド)に渡ったのだそうだ。
  そこで、ホーム・コンサートなどさまざまな音楽活動をしていくなかで徐々に評判を得て、2002年にダブリンのインディーズ・レーベル「Rubyworks」(http://www.rubyworks.com/)から『re-foc』というアルバムをリリースした。このレーベルからはこれまた強烈な個性をもつアイリッシュの女性ロック・シンガー、シネイド・オコナーもアルバムを出している。
  06年の最新アルバム『rodrigo y gabriela 』は世界で40万枚を売ったという。こうした実力を知ってか、日本でもこの3月にソニーから『激情ギターラ』と名前を変えて国内盤がリリースされた。
撮影:Ryota Mori

  ライブは<Speed & Passion>

  ライブの話に戻れば、予想通りの熱のこもった怒濤のギター・パフォーマンスだった。メロディーラインを疾走するように弾くロドリーゴと、まるで大きなバッグを腰のあたりで抱えるようにギターのボディを脇にしてフラメンコのように指を存分につかって激しいリズムを刻むガブリエーラ。演奏の合間のことだが、彼女がスパニッシュの強いアクセントのままにたどたどしく語りかける英語がまた愛嬌がある。
  ときに立ち上がり、会場を挑発するような仕草をしたり。ほとんどが情熱的なサウンドだが、そのなかにも哀愁を帯びた旋律が見え隠れする。さりげなくロックの名曲(ピンク・フロイド?)を入れたり、レパートリーでもあるジャズの名曲「TAKE 5」を聴かせたりと、引き出しの多いところを披露する。そして、彼らの得意とするレッド・ツェッペリンの「天国への階段」のカバーでは、ひときわ大きな喝采を浴びた。
  今年の夏は「フジロックフェスティバル」にもやってくることになっている。さらなる大喝采を浴びることになるだろう。

参考資料:「DUO Music-Exchange」で行われた演奏曲目
1 OK TOKYO
2 JUAN LOCO
3 ORION/FOC
4 SATORI
5 IXTAPA
6 FTUSVD
7 I WISH YOU WERE HERE
8 VIKING MAN
9 TAKE5/ONE
10 Gabriera SOLO/ Rodrigo SOLO
11 STAIRWAY TO HEAVEN
12 TAMACUN
13 DIABLO ROJO

(写真・資料提供 ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)

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