学生の頃に読んだものでいえば、一冊目は鶴見良行さんの
『バナナと日本人』でしょうか。それから丸山真男さんの
『日本の思想』というと優等生的すぎるし、実際この本は難しくてわからないところだらけなので僕は挙げませんが、丸山さんが福沢諭吉の
『文明論之概略』をテキストに講義した内容をおこした
『「文明論之概略」を読む』がいい。上中下三巻で出ていますが、これは一つのテキストを読み解いていく作業とはどういうものなのか、非常によくわかる本だと思います。以上は岩波新書で、他社の本を挙げるとすれば、廣松渉さんの
『哲学入門一歩前』。講談社現代新書のこの本と同時期に、廣松さんは岩波新書から
『新哲学入門』というやはり哲学の入門書を出しているのですが、両者を比べると講談社の方が出来がいいし面白い。なんて言うと怒られるかな(笑)。中公新書では、長田弘さんの
『私の二十世紀書店』。あんな味わい深いブックガイドは、あまりないですよね。学生の頃、あそこに出ている本を全部読んでやろうなんて思ったこともありましたが、もちろん実現していません(笑)。