竹内さんの問題提起は面白いですね。ぼくも教養主義は死に絶えたと思っています。教養主義を支えていた大学という場もいろいろな形で今、波を受けています。仕事柄、大学の先生と話す機会が多いのですが、昔ながらの研究スタイルで、たとえばある資料を丹念に読み解いていくといった時間のかかる仕事はできなくなっていると聞いています。
でも、竹内さんの話にもありましたが、教養自体が意味を失ったかというと、そんなことはない。教養主義は死んでも教養は必要とされ、残っていく。そして教養を提供する一つの媒体として、岩波新書を考えていきたい。このことは創刊以来、今まで果たしてきた役割ではありますが。
ただし、時代の変化の中で、これからは提供の仕方を変えていかなければならないと強く思っています。また、教養の中身についても、考え直していかなければならないでしょうね。
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