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[知ることの価値と楽しさを求める人のために 連想出版がつくるWEB マガジン
「新書マップ」が本になった!―Webと“紙”で「新書」を探そう
キーワードや文章から関連する情報をひろく探し出す「連想検索」機能をつかった「新書マップ」。この新書のデータベースをもとにして若いビジネスパーソン向けに編集した“新書の案内”が書籍になった! Webサービスと補完しながら利用する、新しいかたちの読書ガイドを紹介する。
 4月23日、Webサービス「新書マップ」と連動した、新書のテーマ別読書案内が出版された。タイトルは『3時間で読める!ビジネス新書900冊』(光文社ペーパーバックス、定価1,000円)。「新書マップ」1050のテーマのなかから、この春、社会人としてスタートをきった若いビジネスパーソンをはじめ、ビジネス情報を広く、効率よく把握したいと思っている人に必須と思われる80のテーマに絞って、お勧め新書のリストと読書ガイドを掲載している。
  時事問題や話題の出来事、ビジネスパーソンとしての教養、スキルなど、社会人として知っておくべきことはいろいろある。そうした情報を手にいれるには、新聞やネットをうまく利用する必要があるが、まとまった知識を得るとなると「書籍」に頼るしかない。ただ「書籍」は内容も判型もさまざまで、その中から入門書を選ぶのは難しいものだ。
  そこで活用したいのが、手頃なボリュームでまとまっていて、かつ値段もリーズナブルな「新書」だ。新書ブームが続くなか、大手出版社はもちろん、中小の出版社からも新書シリーズが発売されている。新書の点数は教養新書とよばれるものだけでも月に100冊以上。ますます新書の点数は多くなり、取り扱われるテーマ、分野も飛躍的に広がっている。10年ほど前、新書と言えば岩波新書、中公新書、講談社現代新書しかなかったころは、新書は大学教授が書いた“大学での教科書”だった。しかしいまや、ベースボールマガジン新書(ベースボールマガジン社)や健康人新書(廣済堂出版)など、分野を限定したノウハウ本や、エッセイ風の新書シリーズも登場してきた。新書が「ワン・テーマ・マガジン」と呼ばれるようになり、たいていのことは新書に書いてあるという状況だ。新書群は「知の入門アーカイブ」として、ある程度まとまった知識や情報を得る手段として、もっとも手軽で有効といえよう。
  だが、ひとつ大きな問題がある。それは、あまりにも新書が増えてしまったことだ。昨年2007年1年間だけでも、新書マップ編集部が目を通した教養新書は1000冊をこえる。これでは、たとえ「たいてのことは新書に書いてある」と言っても、どの新書を読めばいいのか簡単には見つけられない。
  そこで活用してほしいのが『3時間で読める!ビジネス新書900冊』だ。膨大な新書のなかから、まず読みべき新書が見つかるはずだ。

 『3時間で読める!ビジネス新書900冊』は大きく二部構成となっている。Part.1は、「旬のニュースを新書で理解する」コーナー。本誌読者にはおなじみの「新書に訊け!」と同様に、話題のニュースについて、詳しい内容や背景を知るための新書ガイドだ。具体的には、<原油価格の高騰、日本経済に影響><問われる食の安全に対する企業姿勢><日雇い派遣グッドウィルに業務停止命令><2007年版高齢社会白書「前例のない高齢社会に」>など11のニュースについて紹介している。
  Part.2は「ビジネスパーソンに重要な70のテーマを新書で理解する」。「日本の雇用」「会社」「ベンチャー」「起業、開業」「企業危機管理」など企業に関する22テーマ、「銀行」「年金」「医療保険」など経済を知るための17テーマ、「情報整理法」「企画力」「マーケティング」「ディベート」などスキルやノウハウを磨くための18テーマ、「敬語」や「Eメールと手紙」などマナーを考える5テーマ、「上司と部下」など良好な人間関係を築くうえでヒントとなる5テーマ、「知的財産権」など知っておくべき法律を学ぶための3テーマ、合わせて70テーマについて、新書リストと読書ガイドを掲載した。
  最近、タイトルだけでは内容を類推できないような新書、あるいはタイトルと内容がかけ離れている新書が少なくない。たとえばベストセラーになった『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)などは、タイトルだけではいったい何について書かれているのかよく分からない。新書マップ編集部では、内容を確認したうえで、それがどのテーマに入るかを検討している。タイトルの検索では見つけられない新書がきちんと網羅されているわけだ。
  また、書店の新書コーナーは出版社ごとに並んでいる。ほしい新書がすでに決まっている場合はいいが、関心のあるテーマについて、どれか2、3冊読もうと出版社ごとに目を通すのは、いささか面倒だ。
  興味のあるテーマについて、まずはどんな新書を手に取ったらいいのか、より深く知りたいときはどれか、自分にとって最適な新書を選ぶときに新書リストと読書ガイドがおおいに役に立つ。
  Part.1、Part.2ともに、それぞれのテーマに付いている新書リストと読書ガイドは、Webサービス「新書マップ」をもとに編集した。「新書マップ」には2008年4月末日現在、10714冊の新書が登録されている。このなかにはすでに絶版、もしくは品切れのものも多く含まれている。今回、『3時間で読める!ビジネス新書900冊』を編集するにあたって、そのテーマを学ぶうえで重要と思われ、かつ新刊書店で手に入りやすい新書を中心に、10冊ほどピック・アップしてリスト化した。もし、そのテーマについてより広く学びたいのであれば、「新書マップ」の当該テーマをみれば、より多くの新書が紹介されている。図書館などを利用して、あわせて活用してほしい。
  また読書ガイドも、すでに「新書マップ」に掲載しているものについては、リストにあわせて修正し、掲載していないものは新たに書き下ろした。実際にリストに掲げている新書そのものを読まなくても、ガイドを一通り読んでもらえれば、現代社会の重要なテーマについて概観できるように工夫した。
  『3時間で読める!ビジネス新書900冊』やWeb版「新書マップ」をうまく連動させ、「知の入門書」としての新書をうまく使いこなしてもらいたい。
PROFILE

中村 佳史

「風」編集部
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