現在、約3800万人の非アメリカ国民がアメリカに在住しており、そのうち約1200万人が適正な在留資格を有していないいわゆる「不法移民」であると言われています。これらの人々の多くは社会に溶け込み、アメリカ経済に不可欠な要員として生活を送っていますが、最低賃金ギリギリで働かされて生活もままならず、また不法移民であるために適正な法的人権保護が受けられないことも多々あります。
一生のほとんどをアメリカで過ごしてきた人びとが、強制退去させられる事例も多いのですが、そのなかには、人権侵害といえる事例も多数あり、HRWもこれについて多数の報告書を出しています。アメリカでは、1996年に厳しい移民法が議会を通過しました。そのため、多くの非アメリカ国民が、アメリカ人の配偶者や親であるといった法的地位などに関係なく、軽犯罪であっても例外なく国外に追放されてしまうことなど、問題視されています。たとえば、2009年には、10万人に及ぶ非アメリカ国民が受刑後、国外に追放されましたが、その多くは、大麻所持などの暴力性のない軽犯罪を問われてのもので、合法移民だった人も多く含まれてます。この問題についてHRWは、
昨年Forced Apartという報告書を発表しましたが、それ以外にも、不公正な審理や無期限拘束の問題を扱った報告書や、グリーンカードの申請をしなかったがという理由で拘束されるという問題をとりあげた報告書や、遠方の収容所に移送する問題をとりあげた報告書など、さまざまな報告書があります。
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