北朝鮮政府は巨大な収容所をつくって、女性や子どもも含め数十万人の人々を悲惨な奴隷状態においています。そのほか、国有財産を盗んだ、食料を秘密裏に貯蔵したなどの「反社会的な」罪を犯したとして、定期的に市民の公開処刑を実施しています。
北朝鮮の「奴隷収容所」につかまっていた人たちの証言や、「奴隷収容所」の監視員だった人の証言などが、いくつか日本語に翻訳されています。例えば『
収容所に生まれた僕は愛を知らない』(申東赫著、李洋秀翻訳、ベストセラーズ、2008年)などでずが、ぜひ一度手にとって読んでみてほしいと思います。
北朝鮮の政治犯収容所で、囚人の子として生まれ、奴隷として生きた申東赫さんの23年間、そして、収容所からの奇跡の脱出を描いた衝撃の手記です。奴隷同然の過酷な労働、理不尽な虐待、家畜のようにかけあわされる結婚と出産。今なお北朝鮮で続く奴隷労働と被拘禁者の権利に対する侵害に、きっと言葉をなくしてしまうでしょう。北朝鮮の「奴隷収容所」の問題を考える上の必読書だと思います。
さらに、北朝鮮の政治犯収容所の実態を知るには、『
平壌の水槽/北朝鮮地獄の強制収容所』(姜哲煥著、ポプラ社、2003年)もお勧めです。人権についてのより専門的な見地から書かれた本を読みたい方は、24人の元収監者への聞き取りをもとに、政治犯収容所の実態を明らかにした報告書、『
朝鮮 隠された強制収容所/亡命者・脱北者24人の証言』(北朝鮮人権アメリカ委員会著、デビッド・ホーク著、草思社 、2004年)も読んでみてください。著者のデビッド・ホーク氏は、カンボジア、ルワンダにおける集団殺害を調査・検証してきた国際人権の専門家で、北朝鮮の奴隷収容所の実態を知ることができる良書です。