スリランカは小さな国ですが、いまここでの内戦は凄惨を極めており、世界最悪の紛争の一つです。この2年間ほどはとくにひどく、なかでも、内戦が最終盤にさしかった2009年1月以降は、残虐を極めており、民間人が数多く殺されています。
スリランカは、人口の75%程度がシンハラ人、20%ほどがタミル人で、多民族国家です。そして、1980年代から20年以上にわたって内戦が続いています。スリランカ北・東部を中心に居住する少数派のタミル人の分離独立をめざす反政府武装集団「タミル・イーラム解放のトラ」(「タミルの虎」・LTTE)が、政府軍との間で、武装闘争を続けているのです。
2009年2月時点で、スリランカ政府軍は、「タミルの虎」を彼らの本拠地から駆逐して、ムラティブ県北東部の100平方kmに満たない狭いエリア(伊豆大島くらいの面積)にまで追い込みました。これまでの紛争のなかで、「タミルの虎」は、支配地域に住んでいたタミル人の民間人たちに、戦闘地域から逃れることを許さなかったこともあり、この狭いエリアには、
20万人もの人々が閉じ込められています。ここに、スリランカ政府軍は攻撃を加えているのです。
その一方でスリランカ政府はここ2年ほどメディアへの紛争地域への立ち入りを禁止しています。よって、この紛争での民間人の犠牲は、隠されたままです。そして、メディアがカバーしないこの紛争に、世界は注目していません。