それがプライバシーと検索や広告の効率性との問題を引き起こしてしまうのだと思うのです。履歴は非常に有益なデータであると同時にプライバシーの問題にもなるからです。あまり見られていませんが、グーグルのプライバシー・ポリシーにはグーグルのネットワークの中では検索結果やサービスの向上のためにはこうしたデータを使うこと、第三者とは共有しないことが明言されています。
しかし、具体的にどのサービスのどのデータとどのデータということは明らかではない。そのあたりに不安はあるのではないかと思います。また、履歴を有効に使おうとしているのは、別にグーグルだけではありません。こうした履歴を何十年も保管できるのは、デジタル技術の普遍的な性質だからです。ヤフー、マイクロソフトといった検索を提供する各社は当然のこと、ショッピング・サイトであるアマゾンや楽天など、みんなやっていることです。アマゾンで買い物をすると、「この商品を購入した人は、こんな商品も買いました」というアナウンスが出ます。これなんかは「履歴」を使ったサービスですよね。
グーグルのエンジニアはこれを「便利なサービスだ」と言っている。だから匿名とプライバシーのギリギリのところの情報がこれからもっと利用が進むのだろうと思います。
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グーグルアドセンスで
月90万円稼ぐ若者ゲールさん |
またグーグルはユーザーがどういう心理でどう行動するのかをよく見てサービスを組み立てているという印象を持っています。先に述べたグーグル・チェックアウトでは、ユーザーのクレジットカード情報を登録する必要があります。アメリカではクレジットカード番号というのは、ある種究極の個人情報で、日本以上にネットに登録することに抵抗を覚える人が多いのですが、グーグル・アドセンスで生計を立てているゲールさんという若者は、「他の会社に預けるよりは、技術者が優秀でセキュリティが高いグーグルに預ける方がはるかに安心だ」と答えました。チェックアウトのサービスを構築した社員は、他社よりも安全で便利なサービスを作れば、よりユーザーが増えると語っており、ユーザーが自分の会社を選ぶか、ほかの会社を選ぶか、そういった心理までをも見通しているのだと思います。 |