日本は、米国などとは一線を画し続けている親イラン国です。イランは反欧米感情、なかでも反米感情が強い国です。イランに対して友好政策をとり、かつ、アジアの一国である日本は、イランで苦しむ人びとの人権をまもるため、独自の役割を果たすことができる立場にあると思います。
しかし、イランとの友好的二国関係を保つことが第一の目的となってしまい、人権などの重要問題が、二の次になってしまっては元も子もありません。今回の大統領選後の混乱に対しても、日本からのメッセージはとても弱いもので、独自の立場を十分に活かした外交ができていません。日本政府には、イランも約束している人権の保護について、守らなくてはならないものは守るべきというもっとしっかりしたメッセージを発してもらいたいと思います。
(敬称略、つづく)
【インタビュー後のイラン状況について編集部補足】
大統領選挙後の抗議デモへに参加したなどで拘束されていた140人が7月28日、釈放された。また、
著名な改革派指導者のサイード・ハッジャリアン氏も、近日中に釈放されるとの報道もある。アフマディネジャード大統領は、重大犯以外の拘束者を8月上旬までに釈放するよう求める書簡を、シャハルディ最高裁長官に送ったと公式ホームページで発表した。多数の改革派支持者の拘束が1ヵ月以上続き、拘束中に死亡した例も明らかになっており、改革派だけでなく、保守派や宗教界からも批判が強まってきたことが背景にあると思われる。
一方で、今回のデモに参加したり、政府批判をした人など数百人が依然拘束中とみられるほか、総選挙後に逮捕された人のうち100人近くに対する裁判が8月1日に開始されたとイラン国営通信などが報道している。