その通りです。チベット人抗議者の弁護を申し出た中国人弁護士たちは、弁護士資格を取り消すと司法部から脅しにさらされ続けています。また、北京五輪前の08年3月14日に、チベットでの抗議行動が「蜂起」と化して以降は、中国政府はチベット地域に記者や国際的組織の調査員などのアクセスを遮断したため、死者や逮捕者の数は依然として不明のままとなっているのも問題です。
チベット問題とならんで、ウィグル族の抑圧も大きな人権問題です。中国政府は「テロとの戦い」の名目の下、ウィグル族(中国の新疆ウィグル自治区に居住し、チュルク語を話すイスラム系民族)の間に、「3つの悪の勢力(テロ、分離主義、宗教過激主義)」が蔓延しているとして、撲滅政策を正当化しています。新疆のイスラム武装グループの存在を利用して、政府が弾圧を強めてきているのです。表現の自由は厳しく規制され、「分離主義者」に傾倒するウィグル人たちは、秘密裏の略式裁判であっというまに処罰されてしまっています。時には大量処罰集会が催されることもあります。
このような人権に対する姿勢は、国内だけでなく海外に対してもとられています。中国は「責任ある政府」と見られ、国際社会から尊敬されたいと望んでいますが、実際には、人権を侵害する国家を支援し続けているのです。あらゆる政府批判を鎮圧しているビルマの軍事政権を援助し、原油の買い付けなどの支援によりスーダンの財政状況を支え、一触即発の状況にあるジンバブエに武器を輸出してきました。こうした政策は、財政的・政治的圧力でこれらの国の人権状況を改善しようとする国際社会の努力を損なっています。