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[知ることの価値と楽しさを求める人のために 連想出版がつくるWEB マガジン
新書の「時の人」にきく
06 “下流”を喰う「悪魔的ビジネス」の実態をえぐる
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4.“オバマ政権”なら対日政策を担うのはこの二人!!
5.システムすら知らない記者が伝える大統領選
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“オバマ政権”なら対日政策を担うのはこの二人!!
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先の話ですが、誰が大統領になるかで対日政策は変わりますか。
堀田
 基本的にはどの候補も対日政策を重要視しているので大きな変化はないでしょう。これは、まだどのメディアにも出ていませんが、もしオバマが大統領になったら、ボーイング・ジャパンの前社長のロバート・オールと90年代にクリントン政権の国防長官特別補佐官だったデレク・ミッチェルという二人が、対日政策の重要な職務を担うでしょう。
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今後のレースは、さらに候補者争いで盛り上がる民主党が、その勢いで本選挙でも有利になっていくようにも見えますが、どうでしょう。
堀田
  いや、共和党は選挙巧者がたくさんいますから、いまはどちらがでてきても、対応できるように党の結束を固めてかかってくるでしょう。それに対して民主党は最後まで二人が争うと、まとまりに欠ける恐れがあります。84年の選挙では民主党はモンデールとハートが最後まで争い、その結果まとまりを欠いて共和党のレーガンに惨敗してしまった例があります。
 しかしそこで面白い可能性としてあるのが、仮にオバマが大統領になったら、ヒラリーを副大統領にもってくるという案です。1月31日の討論会で、「どちらかが大統領になったら相手を副大統領にしますか」という問いに、二人とも否定はしませんでした。どちらが勝つにしろこういう形になれば民主党は違った力を持つことになります。
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システムすら知らない記者が伝える大統領選
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ところで、堀田さんは大統領選を取材し続けていますが、日本のマスコミのなかで継続して大統領選挙の取材をしている記者はほとんどいないと思います。だから、勝った負けたという情勢の変化は追っていてもいまひとつ突っ込んだ取材、記事が見られないようです。
堀田
 大統領選は各社とも、ほとんど毎回異なった人がカバーしています。だから複雑な選挙のシステムを正しく理解していないような記者も多いようです。アメリカのメディア報道の焼き直しのような記事もよく目にします。英語もよく理解できないし、ジョークもうまく拾えないということもあるようです。予備選の様子もアメリカの通信社の記事を引用しているのか、同じ内容が見られます。
――
堀田さんは92年から予備選をはじめ選挙現場を取材していると聞きましたが、どうしてこの取材をするようになったのか、また、なにか印象的な出来事はありましたか。
堀田
 私は84年にインターンとして読売新聞のワシントン支局にいたときに、特派員に随行してワシントンD.C.にある当時の民主党候補ゲーリー・ハートの選挙事務所を訪ねました。車を運転して、住所通りに行くと、あれっと思うような、治安のよくないところでした。1階がアダルト映画。そのビルの2階が目的の事務所でした。でも中に入ると、とても活気がありましたね。
 予備選を取材したのは92年(クリントンが大統領になる)の大統領選がはじめてです。米軍の最高司令官であり世界のリーダーともいえる大統領が、マラソン選挙を経てどうやって誕生するのか、興味がありました。
――
昨年日本に帰ってくるまで、23年間アメリカに滞在して、選挙取材などでだいたいアメリカ各州をまわったとうかがいました。
堀田
 全米45州はまわりましたし、そのうち予備選など選挙取材では20州くらい足を運んだと思います。92年のころはまだ取材現場ものどかな面がありました。今でも覚えていますが、ニューハンプシャー州の民主党の予備選を取材にいったときは、クリントンを囲んでABCニュースの記者、ボストン・グローブの記者、そして私の4人で一時間ほど昼食をともにしました。
 このときクリントンは、当時問題になっていた貿易赤字問題などの解決策について非常に的確に語っていて、こういう人間が大統領になったら素晴らしいだろうなと思ったことを覚えています。こういってはなんですが、日本に帰ってきて日本の指導者をみると、リーダーとしての資質に首を傾げたくなります。

(2月13日、東京都千代田区の日本外国特派員協会にて)
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