創刊ラインアップの10冊は、ちょっと実験的な意味がありました。どんなジャンルが読まれるか、買ってもらえるかを探ろうと、多ジャンルにわたって出してみたんです。生活情報系と趣味系を主軸にして、他社と違うユニークな新書をつくっていこうとしていました。わが社に対しては、生活とか趣味とか、日常生活に密着したテーマが得意な出版社というイメージが読者にはあると思うのです。そうした印象も背景にあって、創刊当初のコンセプトは考えられました。
しかし、創刊のちょうど2ヵ月前に「9・11同時多発テロ」が起きた。それによって、読者が求めるテーマに微妙な変化がうまれた気がします。少し乱暴な言い方かもしれませんが、暢気な人が減ったんではないかと思います。趣味に没頭するよりも、もっと深刻に、社会の状況とか、自分の子供たちは将来どうなるんだろう?老後は大丈夫か?といった切羽詰まった内容の方が売れ始めました。『
ゲーム脳の恐怖』はいい例です。自分の子供は大丈夫だろうか?と思った親御さんが、かなり読んでくださったようです。