上にあげたものはどれもロングセラーになっていますが、特に息が長い本といえば、和田秀樹さんの
『大人のための勉強法』です。発売1年で10万部を超えて、その後もよく売れています。
『日本を創った12人』(堺屋太一著)も発刊後10年近く経ちますが、いまだに増刷がかかります。面白いのは、斎藤環さんの
『社会的ひきこもり』です。98年の発刊当時、特に話題にはならなかったんですが、約一年後、新潟の女児監禁事件を機に急に売れ始めました。新聞やニュースで「ひきこもり」が頻繁に取り上げられるようになり、いつのまにか10万部を超えました。こういう長く売れる本こそ、新書の醍醐味だと思います。
よく、出版社では、新刊本と既刊本の売上比率を調べます。既刊本の売り上げ比率が高いほど、経営が安定しているわけですが、現実的には、新刊本6に対して既刊本4くらいの比率が理想でしょう。PHP新書の場合、7対3から8対2ほどで、新刊に頼らざるを得ません。かつての岩波新書は、4対6くらいで、既刊本の方が多く売れていたと聞いています。新書というジャンルは、いかに、既刊本、ロングセラーで勝負できるかが課題ですね。