基本に戻るようなもの、それらは既に書店の棚の中にあるんですよ。けれど、それはもう岩波さんや中公さんでやり尽くされているところがありますよね。例えば岩波新書には
『奈良』とか、そのまんまのストレートなタイトルのものがたくさんあります。最近でも
『奈良の寺』というのがありますけれど、そういうタイトルで出せるのは一番の老舗ブランド力がある岩波さんだからです。我々のようなベンチャーの新書で
『奈良の寺』を出しても売れませんから(笑)。
飽和状態からのスタートだということはわかっています。でも、これだけ本が出ているのに読まれていないのはなぜかということも考えなければ。本当に知りたい部分に答えていないわけでしょう。今年出した中で売れているのは
『日本はどう報じられているか』(石澤靖治編)ですが、社内でも当初は「今さら日本論?」という声もありました。でも、僕は「今の日本」がどう見られているか、ということがすごく読みたいと思ったのです。ちゃんと作れば読んでもらえると思います。